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事業承継基礎知識

譲渡価格

2015.02.04
カテゴリ: 事業承継交渉ポイント

譲渡価格は立場によって考え方が違うことを理解することが重要!

一般的に、譲渡価格は、相続税評価額、純資産、償却前営業利益、経常利益、類似企業比較、DCF法、モンテカルロシュミレーション等によって算出されるのですが、M&A専門会社は、コンサル受注が目的なので、実際に成立する価格より高めの価格を譲渡側に提示します。一方、その価格をそのまま買い主側に提示すると、それは高すぎるのでもう少しなんとかならないのかという話になります。譲渡価格は、立場の違いにより、正反対の思いを持ってしまうのは止むを得ないのですいが、事業の譲渡を成立させるためには、専門家に合理的な計算をしてもらったうえで、どこまでならディスカウントできるのかの覚悟が必要です。

譲渡側(売主)は高く売りたい

当然のことながら、譲渡側(売主)は事業への愛着や思い入れが強いので、高く売れると信じているものです。しかしながら、あまりにも常識的な数字とかけ離れている場合、譲渡はなかなか決まらないことが多いです。


【譲渡価格が高くなる場合】

  • 「役員報酬を加味した実質利益の〇年分は欲しい」
  • 「大きな会社に売却するのだからこの程度は貰えるだろう」
  • 「別に急いでいないから売却はいつでも良い」
  • 「理屈ではなく最低〇億円は欲しい」

【譲渡価格が安くても良いと思う場合】

  • 「この方への譲渡なら従業員や取引先との関係が維持される」
  • 「銀行への債務保証がなくなるのであればいくらでも良い」
  • 「斜陽産業であり引き継いでくれるだけでありがたい」
  • 「赤字事業」

譲受側(買主)は安く買いたい

一方、譲受側(買主)側は譲渡側(売主)の希望価格より格段に安価な買収を考えています。これは、投資効率やリスクを心配して保守的な事業計画から算定することが理由です。


【買収価格をどうしても安くみる場合】

  • 「リスクを考えると最大〇億円しか出せない」
  • 「オーナーチェンジで取引先との関係が悪くなる可能性がある」
  • 「事業買収後、相当な資金注入が必要」
  • 「過剰なリストラコストを予測」
  • 「シナジー効果・相乗効果を買収価格に反映しない」
  • 「自社で立ち上げた場合の価格を基準にする」

【買収価格が高くても良いと考えてしまう場合】

  • 「チャンスはこの先ない」
  • 「どうしても欲しい会社なので高くてもよい」

中小企業のM&Aでは、値引き交渉を激しく行いすぎると、オーナー同志の関係がギクシャクしてしまうことがあるので、交渉窓口は、ベテランの専門家に任せ、適正価格をベースに交渉を進めることをオススメします。



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